脳梗塞を引き起こす糖尿病
私たちが食事をして血中に取り込んだブドウ糖は、肝臓から分泌される「インスリン」の働きによって細胞に吸収されたり、脂肪・グリコーゲンなどに変換されて肝臓や筋肉に蓄えられます。インスリンの働きによって、一度上昇した血糖値が下げられるのです。
しかし、何らかの原因によってブドウ糖が細胞にうまく吸収されないことがあります。血糖値は高い位置で推移することで、全身に張り巡らされた血管でさまざまなトラブルが引き起こされます。これが糖尿病です。
動脈硬化に伴う脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが高まるだけでなく、人工透析が必要になったり、失明に至ったりと、生活の質にも大きく影響することがあります。
知らないうちに進行する糖尿病
糖尿病は、他の生活習慣病と同様、ほとんど自覚症状がありません。知らず知らずのうちの発症・進行し、重い合併症を起こして初めて気づくケース、健康診断などで数値を指摘されて診断を受けるケースがほとんどです。
発症後は、それ以上悪化させないことに重きが置かれ、食事療法・運動療法、必要に応じて薬物療法で血糖値をコントロールしていくことが必要です。ただ、血糖値コントロールをしながら、適正な体重や血圧、血中脂質を維持していけば、糖尿病の三大合併症と呼ばれる網膜症・腎症・神経障害、動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞のリスクを抑えることは十分に可能です。
もちろん、普段からバランスの良い食事・適度な運動を基本として正しい生活習慣を実践していれば、大きな負担なく予防できる病気でもあります。
糖尿病になりやすい方
- 40歳以上の男性、50歳以上の女性
- 血縁のある親族に血糖値の高い人がいる方
- 肥満傾向にある方
- 暴飲・暴食をしてしまう方
- 歯周病がある方
- 食事回数が一日1回、2回の方
- 濃い味付けが好きな方
- 運動不足の方
- ジュース、お菓子が好きな方
糖尿病の治療法
糖尿病の治療では、食事療法と運動療法が基本となります。どちらもご家庭で実践していただく内容ですが、この二つで血糖値を正常な範囲に戻すことも可能です。
これらの療法でうまく血糖値コントロールができない、すでに糖尿病が進行しているケースでは、内服治療やインスリン療法といった薬物療法をプラスします。いずれにせよ、食事療法・運動療法は糖尿病の治療には欠かせないものです。患者様に合った食事や運動の内容のアドバイスもいたします。
インスリン療法とは?
注射によってインスリンを血中に取り入れ、ブドウ糖を細胞が適切に吸収できるようにする療法です。